ティナリウェンの新作「イミディワン」


これは、いい。
1曲目のイミディワンが流れて、すぐの5秒後(この辺、適当)に思った。こういう風に感じるのは、久しぶり。サハラ砂漠遊牧民族のグループ ティナリウェン(Tinariwen)の新作イミディワン(Imidiwan)。イミディワンは、私の友達という意味らしい。アルバムのオープニングの1曲目って、意外に大事で、この曲の良し悪しで、アルバムの印象も決まってしまう事もある。ついでに言うなら、ジャケットのデザインも大事。でも、このアルバムは、今まで、1日1回、計3回全部を通して聞いたが、最後まで、変わらず良かった。すばらしい。今のところ、私の今年のベスト。
まず、静かなんです。静かな中に、音楽が流れていくという印象。その静かさは、今回は地元でレコーディングをしたという、そのすぐそばの砂漠を想起させる。また、音質はクリアで、ギター音が明快。エレクトリックベースがぐっと前面に出て、安定感がある。雰囲気は、初期のボブ・ディランのカントリーブルースを思わせる所もある。ティナリウェンの以前のアルバムより、じわじわくるじわじわ度は減っており、逆に、ストレート度は上がって、明快に、訴えてくる。歌詩の内容はマリ政府との闘いを歌ったものが多いが、歌はあくまでおだやかで、内に秘めた感じ。イブラヒムの作る曲と歌がやはり最高。一番最後にシークレット曲が入っているが、全曲を聞いた後の夜の砂漠で余韻を楽しむようで、これも良い。また、CDジャケットの装丁や、対訳が付いた心のこもった解説文など大変丁寧で、これも良かった。初回盤は、録音をした様子を映したDVDも付いていて、これも良い。
ロックミュージックはだいぶ前に終わったと考えているが、かといって、ティナリウェンのようないわゆる「ワールドミュージック」に、かつてのロックを求めて聞いてはいないつもり。ロック後の次の、わくわくする、ひいては、自分が鼓舞される、ジャンルにはとらわれない音楽を求めて聞いていると思っている。
2作目のアマサクルを発表して、2005年に初めて来日したコンサートに行った時のちらしを載せた。このコンサートでのイブラヒム(チラシで最右の人)のじわじわ度の高い、しかし、ブッキラボーな歌と演奏に、はまってしまった。2007年の3作目のアマン・イワンを発表しての2回目のコンサートはチケットを買っていたのだが、イブラヒムの病気で、急遽中止に。でも、今回の解説文を読むと、仮病でさぼったらしい。今回のイミディワンを引っさげた日本公演はないとおかしいよ、イブラヒム君。

イミディワン〜アフリカの仲間たち

イミディワン〜アフリカの仲間たち