追悼 加藤和彦

昨日(10/17)、加藤和彦氏の訃報が入った。



好きなソロ時代のヨーロッパ3部作(1979〜1981年)のCD。なかなかリマスター化されなかったが、2004年にめでたく紙ジャケット・リマスターされ購入、今も大事にしている。
1979年の1作目の「パパ・ヘミングウェイ」はジャケットもいい。その名のとおり、ヘミングウェイの人生が歌われている。このアルバムを知るまでは、ヘミングウェイの、ましてパリ時代のことなんか知らなかった。その後、ヘミングウェイの「日はまた昇る」(新訳)を読んで、ロスト・ジェネレーションを知った。ちなみに、旧訳では失われた世代と訳されたようだが、高見の新訳では、自堕落な世代となって、本当の意味になったようだ。レコーディングメンバーは高橋幸弘、坂本龍一など後のYMOとなるメンバーを起用、レコーディングも当時レゲエなどで注目のコンパス・ポイント・スタジオなどで行うなど、時代の最先端を走る音楽であった。ヨーロッパの過去の栄光を偲び、当時台頭していたニュー・ウェーブの影響を受けてベルリンでレコーディングした1980年の2作目「うたかたのオペラ」、1981年の3作目のパリ・レコーディングの「ベル・エキセントリック」。この3作目でほぼ加藤和彦氏が当時やりたかった音楽が完成したのだと思う。ソリッドでスリリングな音展開は今も聞いていてあきない名作群。だが、もう2度と生で聞くことは叶わぬことになった。
加藤氏のご冥福をお祈りします。

日はまた昇る (新潮文庫)

日はまた昇る (新潮文庫)