アブドゥーラ・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)の70年代のCD

東日本大震災からもう少しで4ヶ月になるが、改めて、この震災と原発震災の被害の大きさを感じている。
中央政治は、こんな時でも(こんな時こそ?)相変わらず権力争いに明け暮れてるが、それでも、現地では、そんなことには関係なく、復興や原発対応の地道で懸命な努力が続けられている。
 最近は、音楽は落ち着くものを静かに聞くことが多かった。そのなかで、アブドゥーラ・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)=ダラー・ブランド(Dollar Brand)の70年代の4枚のCDを良く聞いた。イブラヒムの70年代の南アフリカ録音は当時LPで8枚出たが、1988年に4枚にCD化(African sun,Voice of Africa,Blues for a hip king,Tintinyana)され、1989年には日本独自の編集のCD4枚も出た。日本編集盤は、できるだけ録音順に並べたものになっている。その後、1998年頃に洋盤は再発されたが、今入手しようとすると、通販などで、安さでは中古盤になると思う。特に、日本独自のCDの入手は難しく高値がついていると思われるが、洋盤と日本のCDは1曲のみが異なるようで大差はないようである。したがって、洋盤を揃えれば十分と思う。写真の一番上が、持っている1枚の日本盤「アフリカン・サン」で、下は洋盤4枚である。なお、以下の曲説明は洋盤に基づく。
日本盤のライナーノーツ(中村とうよう氏)では、この70年代の一連の録音を「本音のダラーブランド」と言ううまい表現をしている。1969年の「アフリカン・ピアノ」は、デンマークの聴衆を前にしてのLiveであるが、この4枚のCDは、何といっても現地の南アフリカでの、気心知れたメンバーと、のびのびとリラックスして、楽しそうに演奏してるのがいい。CD「African sun」は、いわゆるジャズとは違って、おおらな明るい演奏で素晴らしい。アルトサックスのキッピー・ムケッツィ(Kippie Moeketsi)もゆったりとメロディアスに素晴らしいフレーズを紡いでいく。「Memories of you」のメロウさには参ってしまう。「Sathima」は早歩きの散歩時に聞くと、リズムがぴったり。また、「Nobody knows・・・」ではエレピを弾いているし、「Gwidza」のピアノはハープシコードのような音がする。CD「Voice of Africa」では、「Ntyilo Ntyilo」のドラムのブラシが入った美しいジャズが聴け、その次に、第2の国歌と言われる「Manneberg」-これもピアノの音がハープシコードに聞こえる-になる。CD「Blues for a hip king」は、米国人のプレーヤが加わったためか、いわゆるジャズの音が聞けるが、ありきたりの音ではない。CD「Tintinyana」は赤ん坊の泣き声で始まり、「Bra joe From Kilimanjaro」のサックスも入った再演があり、このアレンジも気に入った。
ちなみに、アブドゥーラ・イブラヒムは1991年に15年振りに南アフリカに戻れたということで、1976年に南アフリカを出たことになる。この4枚のCDは1979年の南アフリカ録音もあるので、実際には1976年後も録音のためなどの理由で戻っていたこともあるようだ。

 これからは、サカキマンゴーの9/4発売の新譜と、今年中に出ると言われているビーチボーイズThe beach boys)版の「スマイル・セッション:The Smile sessions」を楽しみに暮らしていこうと考えています。

Voice of Africa

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