ザ・ビーチ・ボーイズの「スマイル」コレクターズ・ボックス(The Beach Boys "Smile Sessions")

ビーチ・ボーイズの「スマイル」コレクターズ・ボックス(スマイル・セッションズ)は、発売までは謎のままだったが、丁寧な体裁、つくりで、開封する時にわくわくするような作りになっている。また、日本語盤では、対訳だけでなく、ライナーの翻訳も入っている。
今回は、初のビーチボーイズの公式なリリースであり、Surf's upで、ブライアン・ウィルソンBrian Wilson)の素晴らしいファルセットボイスが、2011年の11月という現代に、リマスターで自宅のスピーカから流れるということに、大変感動した。
前回に紹介した、Paul Williamsの本「ブライアン・ウィルソン、そしてビーチ・ボーイズ」に特に好きな箇所がある。p.177で、「Good Vibrations: Thirty Years Of The Beach Boys」のCDに多くのスマイル音源が入っていることに触れて、「・・・何が収められ、収められなかったとかその他の入ったかもしれないものについては一切考えないほうがいい。何度も繰り返し聴くんだ。君の手に届いたほかのレコードを聴くのと同じように、既成事実として。これが存在するアルバムなのだ。君はそのなかに何かを聴き取った?僕はたくさんのものを聴いた。・・・・・」。私は、今回、これと同じように、じっくりと、何度もただ聴くことに集中した。しかも、既成事実だ。
このおかげか、やっと、10曲目の「Look(Song for children)」から、12曲目のあの「Surf's up」までが続いていて、ひとつの組曲になっていることがわかった次第。「Look」で象徴的で暗示的なピアノのイントロが流れ、このフレーズが11曲目「Child is father of the man」にも流れ、盛り上げていき、そして、いよいよSurf's up(波が来た!)で終わる。また、その3曲では、Childという言葉が何度も使われる・・。しかし、Surf's upの詩は難解である。
最後に、おそらく数年後には、モノラルではなく、CD「スマイル」のステレオ盤が出るのではないかと予想する。ちょうど、ペットサウンズ(Pet Sounds)のときのように。その時も楽しみである。

スマイル

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