桑名正博の「Who are you?」

桑名正博の、ファニーカンパニー解散後初のソロアルバムである「Who are you?」はずっと愛聴してきたアルバムだ。残念ながら、発売当時には聞けなかったが、1990年頃に気になってきて、東京蒲田にあるえとせとらレコードという有名な中古レコード屋で探し出して買って、相当聞き込んだ。その後、めでたくCD化され、さらに後には、はがくれレーベルから紙ジャケリマスター盤も出て、もちろんどれも持っている。
 このアルバムは、そりゃ確かに、詩は甘いし幼なすぎるところもある。でも、歌は素晴らしいし、演奏も素晴らしい。オープニングの唸るところから、ただものでないことが分かる。素晴らしい声質と、しなりをもったフレイジングのロックフィーリングを持つ歌手。このオープニング曲「白い朝」は、70年代前半のヴァン・モリソンの牧歌的でフォーキーな演奏を狙っているフシがある。そして、「夏」が終わり、海辺の打ち寄せる波の音から、「夜の海」のアクースティックギターに入るところでは今でもグッと来るし、妹の桑名晴子のバックボーカルも素晴らしい名曲。ほかにも「ロックンロールで踊りましょう」は、軽くレゲエが入っているが、これも晴子のバックボーカルと合わせてじわじわ盛り上がる名曲。そして最後の「ねむり」は、静かにシンセが入って終わるが、遅くまで仕事でどっと疲れて帰宅して深夜(早朝)に寝るときには、この曲を聞いて寝たものだった。このアルバム以降、哀愁トゥナイトから軽くなっていき、 残念ながらこのアルバムの雰囲気が消えていく。1990年頃には住んでいた神奈川での路上ライブがあり、見に行ったが、「夜の海」での桑名のアクースティックギターもうまかった。一緒に歌っていたら気づいてくれ、終了時に「覚えてるぜ」と言ってくれた。どうぞ、また元気になってください。

WHO ARE YOU(紙)

WHO ARE YOU(紙)