ティナリウェン(Tinariwen)の新作「エンマー〜灼熱の嵐〜」(Emmaar)

昨年8/27のオリヴァー・ムトゥクジ(Oliver Mtukudzi)のスキヤキ・トーキョー2013公演は、素晴らしいコンサートだった。ギターを弾きながら、歌い、踊る、大変エネルギッシュなトゥクを目の当たりにし、信じられなかったし、大変感動した。コンサート後は、予習に聞いていた新作のSarawogaなどを聞いて余韻に浸り(尤も新作からは1曲しかやらなかったと思うが)、しばらく他の音楽を聴く気もしなかった。その後、Bob Dylanの「The freewheelin'(フリーホイーリン)」のSACD(Mobile Fidelity Sound Lab.製)をふと購入し聞いて、音の良さと歌に改めて感心してから、また芋づる式に他の音楽も聞き始められた次第。
砂漠のブルースTinariwenのタッシリから3年ぶりの新作は、発売元がライスからPヴァインに変わったからか、前宣伝もなく発売された感が強く、検索で偶然発売されているのを知った。iPhoneで2週間程度じっくり聞いた感想は、やはり素晴らしい音楽ということ。一聴すると、全体に地味で渋いし、暗く、代り映えがない印象があるが、繰り返し聞くうちに、レッチリなどのゲストミュージシャンの演奏は味付け程度であるものの、Tinariwenの高い音楽性を感じる。今回は1曲以外はすべてエレクトリックギターで(ボーナストラックを除く)、アクースティック色の高かった前作より私は大いに気に入っている。オープニングのToumast tinchaは風格も漂う、特に素晴らしい曲と感じた。イントロでの多くのエレクトリックギターのリフで魅了された後に、イブラヒムの歌が始まるが、良く聞くと左右でヴォーカルがかぶせてあり、凝った作りになっている。10曲目のタイトル曲は、このアルバムのなかで一番ポップな感じで、親しみやすい曲である。どことなく、エチオピア歌謡の雰囲気を感じるが、間違っているかもしれない。録音なども凝っているので、全体的にヘッドフォンで大音量で聞くことをお勧めする。

エンマー~灼熱の風~

エンマー~灼熱の風~